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赤ちゃんになった俺を世話するメグミンがやたらと色っぽい件について
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1: 災難の始まり
2: 初めての外出
3: 爆裂魔法への執着
4: 紅魔族の少女
5: 熱
6: 回復と新たな日常
7: 外出の試練
8: 言葉の兆し
9: 薬草採取の決意
10: 下見と月光草
11: 秘密の隠し場所
12: 迷子のカズマ
13: 優しい温もり
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## Chapter 10: 下見と月光草 メグミンは、カズマを抱きしめ、「カズマ、一緒に行こうね。必ず、月光草を見つけて、お前を元の姿に戻してやるからな」と決意を新たにした。その翌朝、メグミンは早朝から行動を開始した。 夜明け前の薄暗い中、メグミンは宿の自室で静かに身支度を整えた。冒険者ギルドで購入したばかりの簡素な地図とコンパスをテーブルに広げ、夜の森の入り口付近の地形を改めて頭に叩き込む。昨夜、ウィズから教わった月光草の生息地の情報を照らし合わせ、最も安全と思われるルートをいくつかピックアップした。 慎重に選んだ黒いマントを羽織り、万が一に備えて短剣を腰に装着する。爆裂魔法が使えない今、頼りになるのは他の魔法と、そして何よりも自分の機転だ。部屋の隅に置かれたベビーベッドで眠るカズマをそっと見つめ、心の中で謝罪した。「少しだけ、我慢しててね。すぐに戻ってくるから」 メグミンは宿の女将に、カズマのことを頼んでおいた。事情を話すと、女将は快く引き受けてくれた。小さな子供を一人にしておくわけにはいかない、という彼女の言葉に、メグミンは感謝の念を抱いた。 宿を出ると、まだ人通りの少ない街を、足早に夜の森へと向かった。空気はひんやりとしており、吐く息が白く染まる。早朝の静寂が、これから挑む危険な冒険を予感させた。 森の入り口に着くと、メグミンは深呼吸をして、気を引き締めた。昼間でも薄暗い森の中は、一歩足を踏み入れると、外界との隔絶を感じさせる異様な雰囲気に包まれていた。 目的はあくまで下見だ。無理は禁物。安全なルートの確保と、月光草の生息地の特定に集中する。メグミンは慎重に、地図とコンパスを頼りに、森の奥へと進んでいった。 道のりは決して平坦ではなかった。倒木や茂みが道を塞ぎ、足元はぬかるんでいる。時折、獣の鳴き声や、得体の知れない音が聞こえてきて、メグミンを緊張させた。 しかし、メグミンは臆することなく、冷静に周囲の状況を把握しながら、着実に前進していった。紅魔族特有の優れた魔力感知能力を活かし、魔物の気配をいち早く察知し、可能な限り回避するように努めた。 数時間後、メグミンはいくつかの月光草の群生地を発見した。ウィズから聞いていた通り、魔力の強い場所にしか生息しないらしく、周囲には魔物の気配も感じられた。 安全な採取ルートを頭に描き、目印となる木の枝に、赤いリボンを結び付けた。これで、夜になっても迷うことなく、月光草の場所までたどり着けるはずだ。 夕方になり、メグミンは下見を終え、宿へと戻ることにした。森を抜けると、西の空が茜色に染まり始めていた。今日の成果を胸に、安堵の息をついた。 宿に戻ると、女将が笑顔でメグミンを迎えてくれた。「お帰りなさい。カズマさんは、ずっと良い子にしてましたよ」 メグミンは急いでカズマの元へと向かった。ベビーベッドの中で、カズマはすやすやと眠っていた。その小さな寝顔を見ていると、メグミンの胸に温かいものが込み上げてきた。 「ただいま、カズマ」 メグミンはそっとカズマの頬を撫でた。カズマはうっすらと目を開け、メグミンの顔を見ると、嬉しそうに笑った。その笑顔が、メグミンの疲れを癒してくれた。 夕食後、メグミンはカズマを抱きしめ、優しく語りかけた。「カズマ、必ず月光草を見つけてくるからな。お前を元の姿に戻して、また一緒に冒険しよう」 カズマはメグミンの言葉を理解しているのか、いないのか、ただただ無邪気に笑っていた。しかし、その笑顔が、メグミンに勇気を与えてくれた。 夜になり、メグミンは再び身支度を整えた。今度は、昼間の下見とは違い、実際に月光草を採取しに行く。危険は承知の上だ。それでも、カズマのためなら、どんな困難にも立ち向かえる。 宿を出る前に、メグミンは女将に改めてカズマのことを頼んだ。女将は心配そうな表情を浮かべながらも、「気をつけて行ってきてくださいね」と励ましてくれた。 メグミンは夜の森へと足を踏み入れた。昼間とは違い、森は完全に闇に包まれていた。月明かりもなく、視界は極端に悪い。頼りになるのは、魔法で作り出したランタンの明かりと、自分の感覚だけだ。 慎重に、昼間の下見で確認したルートを進んでいく。しかし、夜の森は、昼間とは全く違う顔を見せる。昼間には感じなかった魔物の気配が、至る所から感じられた。 しばらく進むと、茂みの中からガサガサという音が聞こえてきた。メグミンはランタンの明かりを向け、警戒した。 姿を現したのは、巨大な牙を持つ、凶暴なイノシシ型の魔物だった。「グロースボア」と呼ばれる魔物で、その突進力は、並みの冒険者では受け止めることができないほどだ。 「面倒なのが出てきたな」 メグミンは冷静に呟いた。爆裂魔法が使えない今、正面から戦うのは得策ではない。しかし、逃げる場所もない。メグミンは、グロースボアとの戦闘を決意した。 グロースボアは、低い唸り声を上げながら、メグミンに向かって突進してきた。メグミンは冷静に、グロースボアの動きを見極めた。 突進の軌道を読み、紙一重で回避する。そして、グロースボアの背後へと回り込み、小型の爆発魔法を放った。 爆発魔法は、グロースボアの背中に命中し、大きな爆発音と共に、グロースボアの動きを止めた。しかし、グロースボアは、怯むことなく、再びメグミンに向かって突進してきた。 「しぶといやつ」 メグミンは舌打ちをした。このままでは、埒が明かない。メグミンは、次の手を考えた。 グロースボアは、再びメグミンに突進してきた。メグミンは、今度は回避せずに、正面からグロースボアの突進を受け止めた。 受け止めたと言っても、ただ受け止めただけではない。メグミンは、グロースボアの突進を受け止めると同時に、魔力を込めた短剣を、グロースボアの首元へと突き刺した。 短剣は、グロースボアの首元に深々と突き刺さり、グロースボアは、悲鳴を上げながら、その場に倒れ伏した。 メグミンは、倒れたグロースボアをしばらく見つめていた。本当に倒せたのか、まだ油断はできない。 グロースボアが完全に動かなくなったことを確認すると、メグミンは短剣を抜き、血を拭き取った。そして、再び、月光草の群生地へと向かって歩き始めた。 魔物を倒したことで、少し時間がかかってしまった。急がなければ、月光草が枯れてしまうかもしれない。 メグミンは、昼間の下見で確認した目印を頼りに、月光草の群生地へと向かった。しかし、魔物との戦闘で、少しルートを間違えてしまったようだ。 あたりを見回すと、見覚えのない景色が広がっていた。メグミンは、自分が道に迷ってしまったことに気づいた。 「まずいな」 メグミンは焦り始めた。道に迷った上に、時間もない。このままでは、月光草を手に入れることができないかもしれない。 メグミンは、一度冷静になるために、深呼吸をした。そして、自分の感覚を研ぎ澄ませ、周囲の状況を把握しようとした。 すると、微かに、魔力の匂いがすることに気づいた。メグミンは、魔力の匂いがする方向へと歩き始めた。 しばらく歩くと、開けた場所に出た。そこには、昼間に見た月光草の群生地が広がっていた。 「よかった」 メグミンは安堵の息をついた。なんとか、月光草の群生地にたどり着くことができた。 月光草は、月の光を浴びて、幻想的な光を放っていた。その美しさに、メグミンはしばし見惚れていた。 しかし、今は感傷に浸っている場合ではない。メグミンは、急いで月光草を採取し始めた。 月光草は、繊細で、少し触れただけでも、すぐに枯れてしまう。メグミンは、慎重に、丁寧に、月光草を摘み取っていった。 必要な量の月光草を採取し終えると、メグミンは、急いで宿へと戻ることにした。 帰り道は、行きよりもさらに危険だった。魔物との遭遇回数も増え、その度に、戦闘を強いられた。 しかし、メグミンは、持ち前の魔法と機転で、次々と魔物を撃退していった。そして、ついに、宿へとたどり着いた。 宿の扉を開けると、女将が心配そうな顔で迎えてくれた。「おかえりなさい。遅かったから、心配していましたよ」 「ただいま。少し、道に迷ってしまって」 メグミンは、申し訳なさそうに言った。女将は、「無事でよかった」と言い、メグミンを部屋へと案内してくれた。 部屋に戻ると、カズマはまだ眠っていた。メグミンは、そっとカズマの隣に座り、月光草を見せた。 「カズマ、見てくれ。月光草を手に入れたぞ。これで、お前を元の姿に戻すことができる」 メグミンは、安堵の表情を浮かべた。長かった一日が終わった。
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