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赤ちゃんになった俺を世話するメグミンがやたらと色っぽい件について
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1: 災難の始まり
2: 初めての外出
3: 爆裂魔法への執着
4: 紅魔族の少女
5: 熱
6: 回復と新たな日常
7: 外出の試練
8: 言葉の兆し
9: 薬草採取の決意
10: 下見と月光草
11: 秘密の隠し場所
12: 迷子のカズマ
13: 優しい温もり
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Chapter 8: 言葉の兆し メグミンは眠りから覚めた。隣にはカズマが寝ている。静かな朝だ。 「ふあ……」 欠伸をしながら体を起こす。カズマを見ると、目が覚めていた。 「おはよう」 声をかけると、カズマはにこりと笑った。そして、何かを言おうとしているように口をモゴモゴさせている。 「……?」 メグミンは首を傾げた。カズマは「ま……ま……」と、はっきりしない音を発している。 メグミンは息を呑んだ。 (まさか……ママって言おうとしてるのか?) 「ママ、って言いたいの?」 期待を込めて尋ねると、カズマは「ぶー……」と違う音を出した。 「違うのか……」 少しがっかりしながらも、メグミンはカズマの顔を覗き込んだ。 「もう一回、ママって言ってみて」 カズマの小さな口元を指さしながら促すと、カズマはまた「あー……」と曖昧な声を出すだけだった。 (赤ちゃんに言葉を教えるなんて、初めてだな) メグミンは少し興奮した。 「いいか、よく聞け。『ま』だ。『ま』!」 大げさに口を動かしながら教えるが、カズマは不思議そうな顔をしているだけだ。 「むー……」 カズマはメグミンの顔をじっと見つめ、また何かを言おうとしている。 「ま……ぐ……」 今度は少し違う音が出た。 「メグ? メグって言いたいの?」 メグミンはさらに期待した。 「ぐ……み……」 カズマは一生懸命に言葉を発しようとしている。 「惜しい! メグミンだ。メ・グ・ミ・ン!」 メグミンは根気強く教えた。しかし、カズマは「うー……」と唸るだけで、なかなか上手くいかない。 (こうなったら、特訓だ!) メグミンは決意した。 午前中いっぱい、メグミンはカズマに言葉を教え続けた。「あー」「うー」という赤ん坊特有の音しか出せないカズマに、何度も何度も「ママ」「メグミン」と言い聞かせた。 しかし、カズマは頑なに協力しない。メグミンが真剣に教えれば教えるほど、カズマは笑ってごまかす。 「お前、わざとやってるだろ!」 メグミンはカズマの頬を軽く抓った。カズマは「きゃっきゃ」と笑い声をあげた。 昼過ぎ、部屋にノックの音が響いた。 「メグミンさん、いらっしゃいますか?」 聞き覚えのある声だ。 「ゆんゆん……」 メグミンはため息をついた。また何か用があるのだろうか。 「今、ちょっと忙しいんだけど……」 言いながらドアを開けると、ゆんゆんが心配そうな顔で立っていた。 「カズマさんの様子を見に来ました。大丈夫ですか?」 「ああ、大丈夫だよ。もう熱は下がったし」 メグミンは答えた。 「それなら良かった。何かお手伝いできることはありますか?」 ゆんゆんは申し訳なさそうに言った。 「別に、何も……」 メグミンは言いかけたが、ふと閃いた。 (ゆんゆんなら、カズマに言葉を教えるのを手伝ってくれるかもしれない) 「……ちょっとだけ、手伝ってくれる?」 メグミンは渋々頼んだ。 ゆんゆんは目を輝かせた。 「はい! 喜んで!」 ゆんゆんは部屋に入ると、すぐにカズマに近づいた。 「カズマさん、こんにちは。ゆんゆんですよ」 ゆんゆんは優しい笑顔でカズマに話しかけた。カズマはゆんゆんを見て、にこにこと笑った。 「ゆんゆん、って言ってみて。ゆん、ゆん」 ゆんゆんはカズマに言葉を教え始めた。メグミンが見ていた午前中の特訓と全く同じことをしている。 しかし、信じられないことが起こった。 「ゆ……ん」 カズマがはっきりと「ゆん」と発音したのだ。 メグミンは唖然とした。 「すごい! カズマさん、賢いですね!」 ゆんゆんは嬉しそうにカズマを褒めた。カズマは得意げな顔をしている。 メグミンの心に、黒い炎が燃え上がった。 (なぜだ!? なぜゆんゆんの名前は言えるんだ!? 私が午前中あんなに頑張ったのに!) 嫉妬の炎がメグミンの全身を焼き尽くす。 「あ、ありがとうゆんゆん。でも、もう大丈夫だから」 メグミンは無理やり笑顔を作った。 「え? でも……」 ゆんゆんは戸惑った。 「本当に大丈夫だから! もうすぐ夕食の時間だし、帰って!」 メグミンは半ば強引にゆんゆんを追い出した。 「……分かりました。何かあったら、いつでも言ってくださいね」 ゆんゆんは名残惜しそうに部屋を出て行った。 ドアが閉まると同時に、メグミンはカズマを睨みつけた。 「お前……ゆんゆんの名前は言えるのに、私の名前は言えないのか!?」 カズマはキョトンとした顔でメグミンを見ている。 「私の名前を言え! メグミンだ! メ・グ・ミ・ン!」 メグミンはカズマに迫った。しかし、カズマは笑うだけだった。 「笑うな! 絶対に言わせるぞ!」 メグミンは再びカズマに言葉を教え始めた。しかし、カズマは相変わらず「あー」「うー」としか言わない。 (くそ……意地でも言わせてやる!) メグミンは諦めなかった。夕食の時間になっても、カズマに言葉を教え続けた。 「メグミン! メグミン! ほら、言ってみろ!」 しかし、カズマは笑うだけで、決してメグミンの名前を言おうとはしなかった。 夜になった。 メグミンは疲れ果てて、カズマを寝かしつけることにした。 「もういい……今日は諦める」 メグミンは力なく言った。カズマをベッドに寝かせ、自分も隣に横になった。 「おやすみ……」 メグミンは目を閉じた。しかし、なかなか寝付けない。 (明日こそは、絶対に私の名前を言わせてやる……) メグミンは心の中で誓った。 ふと、カズマが動いた気配がした。 メグミンは薄目を開けた。カズマが小さな手を伸ばし、メグミンの頬に触れた。 「……?」 メグミンは息を呑んだ。カズマの手は、とても温かかった。 カズマはメグミンの頬を撫でるように触れ、小さな声で何かを呟いた。 「……めぐ……」 メグミンは全身が震えた。カズマが、確かに「めぐ」と呟いたのだ。 それは、とても小さく、か細い声だった。しかし、メグミンにははっきりと聞こえた。 メグミンの目から、涙が溢れ出した。 「……!」 メグミンはカズマをそっと抱きしめた。 「お前……」 言葉にならない感情が、メグミンの胸にこみ上げてくる。 「お前が元に戻ったら、このことは絶対に忘れる……」 メグミンは涙ながらにそう宣言し
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2: 初めての外出
3: 爆裂魔法への執着
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5: 熱
6: 回復と新たな日常
7: 外出の試練
8: 言葉の兆し
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