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赤ちゃんになった俺を世話するメグミンがやたらと色っぽい件について
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1: 災難の始まり
2: 初めての外出
3: 爆裂魔法への執着
4: 紅魔族の少女
5: 熱
6: 回復と新たな日常
7: 外出の試練
8: 言葉の兆し
9: 薬草採取の決意
10: 下見と月光草
11: 秘密の隠し場所
12: 迷子のカズマ
13: 優しい温もり
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Chapter 2: 初めての外出 朝日が昇り、メグミンは疲れた体を引きずって起き上がった。カズマはまだ眠っていた。小さな胸が規則的に上下している。メグミンは自分の顔を洗い、簡単な朝食を用意した。パンとスープだけの質素な食事だ。 カズマが目を覚ましたのは、メグミンがスープを飲み終えた頃だった。小さな泣き声が部屋に響く。 「起きたか」 メグミンはカズマを抱き上げた。おむつを確認する。濡れていた。もう慣れたものだ、とメグミンは思った。昨夜だけで三回も替えた。手際よくおむつを替え、ミルクを作る。 カズマは哺乳瓶を咥えて夢中でミルクを飲んだ。メグミンは窓の外を見た。快晴だった。 「そうだ、今日は爆裂魔法の日課がある」 メグミンは呟いた。毎日、草原で爆裂魔法を一発放つのが彼女の日課だ。一日でも欠かすわけにはいかない。だが問題がある。カズマをどうするか。 「部屋に置いていくわけにはいかんな」 赤ん坊を一人にするのは危険だ。メグミンは決断した。カズマを連れて行くしかない。 ミルクを飲み終えたカズマをげっぷさせ、メグミンは外出の準備を始めた。カズマに暖かい服を着せ、自分も外套を羽織る。カズマを抱き上げると、想像以上に重かった。 「一週間、これを続けるのか……」 メグミンは深いため息をついた。 *** 街に出ると、すぐに視線を感じた。 「あら、メグミンちゃん。その子は?」 八百屋のおばさんが声をかけてきた。メグミンは慌てて答えた。 「これは、えっと、知り合いの子で……」 「まあ、可愛い! メグミンちゃん、もうお母さんなの?」 「違います! これは――」 「若いのにえらいわねぇ。頑張ってね」 おばさんは勝手に納得して、野菜の整理に戻った。メグミンは呆然とした。 「待て、話を聞け!」 だが、おばさんはもう聞いていなかった。 メグミンは足早に街を歩いた。だが、すれ違う人々が次々とカズマを見て微笑む。 「メグミンの赤ちゃん、可愛いね」 「お父さんは誰?」 「まさかカズマの?」 最後の言葉にメグミンは顔を真っ赤にした。 「違う! これはカズマだ! カズマが薬で赤ん坊になったんだ!」 だが、誰も信じなかった。むしろ、必死に否定するメグミンを見て、人々は「照れてる」と解釈した。 「そんなに恥ずかしがらなくても」 「祝福するわ」 「幸せにね」 メグミンは絶望した。これは悪夢だ。カズマは彼女の腕の中で、状況を理解しているのか、複雑な表情を浮かべていた。もちろん、メグミンにはそれが赤ん坊の無邪気な顔にしか見えなかった。 「くそっ、早く草原に行くぞ」 メグミンはカズマを抱きしめて、街の外へ急いだ。 *** 草原に着いた時、メグミンは息を切らしていた。赤ん坊を抱いて長距離を歩くのは想像以上に疲れる。 「はあ、はあ……ようやく着いた」 メグミンはカズマを草の上に寝かせた。カズマは空を見上げている。青い空と白い雲が広がっていた。 「少し待っていろ。すぐに爆裂魔法を放つ」 メグミンは杖を構えた。いつもの場所、いつもの角度だ。魔力が体内で渦巻く。この感覚がたまらない。メグミンは詠唱を始めた。 「我が名はメグミン! 紅魔族随一の魔法使いにして爆裂魔法を操りし者! 闇より暗き漆黒を束ね、紅き魔力を糧とし――」 その時、カズマが泣き始めた。 「ふぇええええん!」 大きな泣き声が草原に響いた。メグミンの詠唱が止まった。 「カ、カズマ! 今はダメだ! あと少しで――」 だが、カズマの泣き声は止まらなかった。むしろ、どんどん大きくなっていく。メグミンは魔力を維持しようとしたが、カズマの泣き声が気になって集中できない。 「くっ……」 メグミンは詠唱を中断して、カズマの元に駆け寄った。 「どうした! おむつか? お腹が空いたのか?」 カズマは泣き続けた。メグミンはおむつを確認したが、濡れていなかった。ミルクもさっき飲んだばかりだ。 「何が不満なんだ!」 メグミンは苛立ちながらカズマを抱き上げた。カズマはメグミンの顔を見て、少しだけ泣き声を弱めた。 メグミンは理解した。 「まさか……寂しかったのか?」 カズマの泣き声が完全に止まった。メグミンは額に手を当てた。 「お前は……赤ん坊の体になって、精神まで影響を受けているのか?」 カズマは何も答えなかった。ただ、メグミンの顔を見つめていた。 「仕方ない。抱いたまま爆裂魔法を放つ」 メグミンはカズマを片腕で抱き、もう片方の手で杖を構えた。バランスが悪い。魔力の制御も難しい。だが、やるしかない。 「我が名はメグミン――」 カズマが身じろぎした。メグミンの胸に小さな頭を押し付けてくる。メグミンの顔が赤くなった。 「動くな、カズマ! 今は詠唱中だ!」 カズマは気にせず、メグミンの体温を求めて体を擦り付けてくる。メグミンは詠唱を続けようとしたが、カズマの柔らかい体が気になって仕方ない。 「くそっ……集中できん!」 メグミンは詠唱を諦めた。魔力が霧散していく。一日一回の爆裂魔法を放てなかった。これは紅魔族として、メグミンとして、あってはならないことだ。 「カズマ……貴様……」 メグミンは怒りに震えた。だが、カズマは彼女の胸の中で安心しきった顔をしている。小さな手がメグミンの服を掴んでいた。 メグミンは深く息を吐いた。 「わかった。今日は諦める。だが明日は絶対に放つぞ」 カズマは「ふぇ」と小さく声を出した。メグミンはそれを肯定と受け取った。 *** 帰り道、メグミンは疲労を感じていた。カズマを抱いたまま草原から街まで歩くのは辛い。腕が痛い。肩も凝っている。 「重いぞ、カズマ。もう少し軽くなれ」 カズマは無邪気な顔をしていた。メグミンは文句を言いながらも、カズマを落とさないようにしっかりと抱いていた。 街の入り口に差し掛かった時、見慣れた声が聞こえた。 「あら、メグミン! 散歩?」 アクアだった。隣にはダクネスもいる。二人はメグミンとカズマを見て、にやりと笑った。 「母親の顔になってきたわね」 アクアが茶化すように言った。メグミンの顔が赤くなった。 「黙れアクア! これはただの世話だ!」 「でも、その抱き方、完全に母親よ。ほら、カズマもすっかりメグミンに懐いてるし」 ダクネスも頷いた。 「ああ、確かに。メグミン、お前は母性に目覚めたのだな」 「目覚めてない!」 メグミンは叫んだ。だが、カズマは彼女の胸に顔を埋めて、満足そうにしている。この光景は、どう見ても母子だった。 「認めたくないだろうけど、メグミン、お前、優しい顔してるわよ」 アクアが指摘した。メグミンは反論しようとしたが、言葉が出なかった。 「それに、カズマを大事に抱いてる。落とさないように、傷つけないように、すごく気を使ってる」 ダクネスの言葉にメグミンは動揺した。 「それは……当然だ。カズマは仲間だからな」 「仲間以上に見えるけど」 アクアが笑った。メグミンは彼女を睨んだ。 「貴様ら、世話を押し付けておいて、今さら何を言う」 「だって面白いんだもの。メグミンが赤ん坊の世話してるなんて、想像もできなかったわ」 アクアは楽しそうだった。ダクネスも微笑んでいる。 「お前たち……後で覚えてろ」 メグミンは二人を無視して歩き出した。だが、アクアの最後の言葉が追いかけてきた。 「メグミン、良いお母さんになれるわよ!」 メグミンは振り返らなかった。顔が熱くて仕方なかった。 *** 部屋に戻った時、メグミンは完全に疲れ切っていた。カズマをベッドに寝かせ、自分も隣に倒れ込んだ。 「もう無理だ……明日からはお前を部屋に置いていく」 メグミンは天井を見ながら宣言した。カズマは彼女を見ていた。小さな目が不安そうに揺れている。 メグミンはその表情を見て、胸が痛んだ。 「いや……やはりダメだ。お前を一人にはできん」 カズマの表情が少しだけ和らいだ。メグミンはため息をついた。 「私は何をしているんだ……」 彼女は自分の感情が理解できなかった。カズマはただの仲間だ。パーティーメンバーだ。それ以上でも以下でもない。なのに、なぜこんなに気になるのか。 「赤ん坊の姿だから、放っておけないだけだ」 メグミンは自分に言い聞かせた。カズマは何も言わず、ただ彼女を見つめていた。 「お前は何を考えているんだ、カズマ」 メグミンは問いかけた。もちろん、答えは返ってこない。 「意識があるなら、少しは協力しろ。私も大変なんだぞ」 カズマは小さく手を動かした。メグミンの指に触れようとしている。メグミンは手を差し出した。カズマの小さな手が彼女の指を掴んだ。 「……握力は弱いな」 メグミンは呟いた。カズマの手は温かかった。柔らかくて、壊れそうで、守らなければいけない気持ちにさせられる。 「一週間だけだ。それまで我慢しろ」 メグミンはカズマの手を優しく握り返した。 カズマは彼女を見つめ続けた。その目には、言葉にできない何かがあった。メグミンは目を逸らした。 「さて、夕食の準備をしなければな」 メグミンは立ち上がった。だが、カズマが泣き始めた。 「また泣くのか!」 メグミンは振り返った。カズマは彼女に手を伸ばしている。 「……わかった。抱いていけばいいんだろう」 メグミンはカズマを抱き上げた。カズマの泣き声が止まった。 「本当に手のかかる奴だな」 メグミンは文句を言いながらも、カズマを優しく抱いていた。 *** 夕食の準備は大変だった。片手でカズマを抱き、もう片方の手で料理をする。バランスが悪く、何度も失敗しそうになった。 「カズマ、少しだけベッドに――」 カズマが泣き始めた。メグミンは諦めた。 「わかった、わかった。抱いたままやる」 結局、簡単なスープとパンだけの夕食になった。メグミンは片手で食事をした。カズマは彼女の膝の上に座っている。 「お前も食べるか?」 メグミンはスープをスプーンですくって、カズマの口に近づけた。だが、カズマは首を振った。 「そうか、ミルクしか飲めないんだったな」 メグミンはスープを自分の口に運んだ。カズマは彼女の食事を見ていた。 食事を終えると、メグミンはカズマにミルクを飲ませた。カズマは哺乳瓶を咥えて、夢中で飲んだ。 「よく飲むな。お腹が空いていたのか」 メグミンはカズマの頭を優しく撫でた。カズマは彼女を見上げた。 ミルクを飲み終えると、カズマは眠そうな顔をした。メグミンはげっぷをさせて、ベッドに寝かせた。 「もう寝るのか。早いな」 メグミンは自分も疲れていることに気づいた。まだ夜は浅いが、もう休みたかった。 「私も寝よう」 メグミンは服を着替えて、カズマの隣に横になった。カズマは既に眠っていた。小さな寝息が聞こえる。 メグミンはカズマの顔を見た。無防備な寝顔だった。普段のカズマからは想像もできない、純粋な表情だ。 「こんな顔もするんだな」 メグミンは呟いた。カズマの頬に手を伸ばした。柔らかかった。 「一週間……長いのか、短いのか」 メグミンは自分の感情が整理できなかった。カズマの世話は大変だ。疲れる。イライラする。だが、同時に、不思議と悪くない気持ちもあった。 「私は何を考えているんだ」 メグミンは目を閉じた。疲労が一気に押し寄せてきた。 眠りに落ちる直前、カズマの小さな手が彼女の服を掴んだ。メグミンは目を開けた。カズマは眠ったまま、彼女にしがみついていた。 「……離れるな、ということか」 メグミンは小さく笑った。
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